エチュード研究

当面はリサイタルの予定がなくなったので、今年度は論文を書くことにした。内容は大学での授業改善についてである。教育実践に関する論文は今までに「『ピアノ伴奏法』授業の変遷」「ピアノ実技におけるグループ指導について」の二つを書いたが、今回はその続編というべきものである。

それとは別に、紀要論文ではピアノのテクニック「上級」「中級に向けて」の二つを書いてきたが、「初級」についてはいずれ徹底的に研究してみたいと思っている。時間のある時にはエチュードについての研究を行っているのだが、これが結構大変な作業なのである。エチュードの数が多いためだ。

初級についてはまたいずれ書くつもりであるが、中級エチュードの基本として「ツェルニー30番」を挙げる人は多い。原題はCzerny, Carl: 30 études de mécanisme Op.849(30のメカニスムの練習曲)。これはピアノ演奏の基本を学ぶのに大切なエチュードであると言われてきたもので、私の友人では一通り終了してからもう一度学習したという人もいた。確かによくできたエチュードだと思う。特に第6番などは音階を学習するのに適したものだと思う。最初に休符を挟んだ断片的な音階で指を慣らしたのちに長いパッセージを弾かせるという構成である。

この「30番」について、ある先生は「第8番から学習させるのが良い」という意見だった。その後第9番、第6番というように進ませるということであったが、私はエチュードが嫌いになる原因は同じ音形がブレスなしに続くことだと思っているので、この説には懐疑的である。どうもツェルニーはそういう傾向があり、先ほどの第6番以外では第11番などが自然な音楽だと思う。

他には第6番のようなエチュードはないものか。思いつくのはベルティーニ「25のやさしい練習曲 Op.100」、ヘラー「25の練習曲 Op.45」「30の進歩的練習曲 Op.46」「リズムと表現のための練習曲 Op.47」などだ。これらは国内版で入手できるが、ベルティーニエチュードではその他に「24の練習曲 Op.29」「24の練習曲 Op.32」などもある。

ベルティーニのOp.100は子供の頃に習ったことがある。演奏しやすいエチュードという印象で、ご覧のように適度に休符を挟みながら技巧を習得できる曲が多いように思う。全音版の解説には「バイエルを終えて、ツェルニー30番にはいるには少しむりなこどもにはツェルニー30番の中継にこの曲集を1番から順を追って学習してからツェルニーにはいられるといいでしょう」と書かれていた。

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 ベルティーニの他のエチュードを見ても、音楽的に楽しめる要素があるようなので、これから全曲調べてみることにしたい。その後、ヘラーなどロマン派のエチュードを調査する予定である。ツェルニーがどうもつまらない、という人の中に「モシュコフスキ20の小練習曲」などを推薦する人がいるが、確かにロマン派以降で魅力的かつ効果的なエチュードはあると思うので、今後調査をしていくこととしたい。