ピアノ教本

エチュード研究と並行して、たぶん来年度に論文として書くことになる「初級ピアノ教本」について調べている。

私が子どもの頃は「バイエル」が多く、「メトードローズ」を使っている人はまだ珍しかった(地方のため?)。バイエル何番を弾いている、という言葉がそのままその子供の進度として通用するような感じもあったように思う。中級に向かう教材としては「ブルグミュラー25の練習曲」が多かったと思うが、私は1曲も勉強していない。その代わり「子供のケーラー」「リトルピアニスト」「子供のヘンデル」などを勉強した記憶がある他、とにかくバッハが多く、古典派の曲はモーツァルトソナタ。これがなかなか弾けなくて苦労した。現在バッハがあまり好きではないこととこの時代の勉強に関係があるのかは分からない。ロマン派は少なかったし、近代作品にいたっては、特にラヴェルの作品など高校に入ってから初めて知ったという有様であった。何だか勉強が偏っていたような気がする。

さて、その頃の「全音楽譜出版社」楽譜の最後のページに、「全音ピアノ教本・曲集学習書大系」という表が掲載されていて、初級用・第1課程のところに「一宮こどものバイエル」と書かれていた。これは一体何の本だろうと思っていたのだが、一宮道子編集によるバイエル教則本であると分かった。調べてみると、園田清秀『新しいバイエル』の流れを受けた教則本ということであるが、現在入手ができるか調査中である。参考書によるとなかなか良い考えのもとに編集されているようなので、是非見てみたいと思っている。私は「全訳バイエルピアノ教本」で学んだので、赤白に分かれた「子供のバイエル」のことは知らなかった。日本ではこの「新しいバイエル」の特徴を生かしながら、解説や教材曲の追加などを工夫していた時代が続いたと『ピアノ教本ガイドブック(山本美芽著、音楽之友社)』に書いてある。

ピアノ教本にはそれぞれの特徴や良さがあると思うので、どれがいちばん良いか、ということは一概には言えないはずである。色々なピアニストが色々な教本で学んでいるし、教え方次第ということもあるはずだ。しかし、その本の特徴や傾向をつかんでおく必要はある。それをこれから(1年かけて)研究してみたい。

まずはアメリカの教本から。トンプソン「現代ピアノ教本」は使って指導したことはあるが、私が指導するのは主として教員養成課程の学習者なので、3巻から後の方にある編曲作品を使う程度だった。1巻2巻は「歌」の教材が多い印象で、これは初級者には有効な指導法であると思う。音楽に親しむには歌うことが基本だからである。

次に「ペース・メソッド」。大学の研究室には「幼児用 おんがくをはじめよう」と「音楽をはじめよう」が置いてあったので(教師用含む)、それを読んでいるところである。さらに個人的に「ピアノ・レッスン」「音楽のべんきょう」「指をきたえる」等を購入した。今後少しずつ内容を見ていきたい。黒鍵から導入する、というのがやや気になるところである。

「バスティン」は、これを使用して成果を上げているピアノ指導者が存在することを知っていたが、私の仕事の範疇ではないと思ってあまり興味を持たなかった。それを反省し、今後、やはり個人的に「ピアノ ベーシックス」などを見ていくこととする。

グローバー」は、かなり前に購入してその内容を調べたことがあるが、1冊のページ数が少なく、最後に修了証があるのも面白いし(「トンプソン」にもある)、楽しみながら学習できるようにも思われるのだが、内容について詳細な分析をしたサイトもある。和音の導入に関しては私の研究テーマのひとつでもあるので、この辺は再度勉強し直す予定である。

まずはアメリカ、そしてヨーロッパの教本と進んでいく。

右肩の痛みは徐々に治ってきたので、そろそろ以前のようなレパートリーも練習していきたい。現在は演奏できるのは初期ロマン派あたりの作品までで、オクターヴ、和音奏の多い曲は演奏できない。残念であるがこれも少しずつ克服していきたいと思っている。