Maggiore/ Minore の標記

どちらもイタリア語で「長調」「短調」の意味であることはどなたも御存じのことであろう。

昨日、久しぶりでベートーヴェン交響曲第3番”英雄”」を勉強し直したのだが、第2楽章の中間部でMaggioreと記されていることを考えてみた。この楽章は葬送行進曲 Marcia funebre で、主部はハ短調である。中間部でハ長調に転調することはナチュラル記号で示されているので「長調」と書かなくても良いとも思うが、こういう書き方(分かっていることをわざわざ強調して書く)は結構あるようだ。

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ベートーヴェンで思い出すのは、同交響曲の第3楽章、第381小節の「Alla breve」、あるいは交響曲第9番第2楽章、第186小節以降の「Ritmo de tre battute」など。

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このような書き方は、標語を書かなくても拍子、リズムあるいは調が変わったことはわかるのであるが、そこで音楽が大きく変わることを示そうとするものと思われる。

ほかの例だと、古典派の変奏曲などで、例えばハ短調からハ長調に転調するときなどでも「Maggiore」と表記される。これについては小泉洽『新版音楽辞典』では「例えば、短調から、同じ主音の長調に転調したり、または長調から同じ主音の短調に転調したりすることを示す。ベートーフェンの作品35の「15変奏」の第15番目にそれがある」と書かれていた。

また、ふつうは分かるはずであるのに、あえて注意を喚起する書き方としてはこのほかに「loco」という言葉の使用もある。以下はガーシュイン「ピアノ協奏曲」の一部(楽譜はすべて IMSLPのサイトより)。

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今後もこういう素朴な疑問についていろいろ調査し、分かったことは投稿するつもりだが、もしわからなくてもその時の自分なりの考え方は書いてみたい。今回の書法について、その理由などについて、もしお分かりの方がいらしたらご教示いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。