自宅のピアノ

家にピアノがあることは私にとって基本的なことである。それは私がこの楽器を演奏することに関係した仕事をしているからである。

今までいろいろなピアノを弾いてきた。昔は中流家庭には価格が高く、我が家も月賦(古い言葉)で買ったものだが、高校に入るころ下宿で使う必要が生じ、免税で新しい1台を買ってもらった記憶がある(消費税導入の際にこの制度はなくなった)。このピアノ(ヤマハG3)は弦が何度も切れる特徴があり、何年か後にG5というピアノを購入してもらった。このピアノはのちに知人にお譲りすることとなった。

それからいろいろなピアノを購入してきたが、一番思い出に残っているのは初めて自分の働いた給料で買った「G2」。アパートの6畳間で弾いていたが、夜間練習用の弱音装置があり、これはかなり便利だった。

埼玉県大宮市(当時)に在住していたたしか1999年に購入したのが「ベーゼンドルファー170」である。私としては一番気に入っていたピアノだったのだが、何度か調律師が出入りするうちに音が変化してしまい、結局売り払ってヤマハS4を選ぶこととなった。「S4」はレッスン室で用いているが、現在、非常に後悔している。というのは調律師を何度も変えたのは、購入時にいろいろお世話になったKさんという調律師が亡くなってしまったからであり、いろいろな人に頼んだが音は悪くなるばかりだった。良い調律師はいないと思いこんでしまい(ベーゼンドルファー関係の会社から頼んだこともありそれが最後だった)、短気を起こしてしまったと思う。もっと根気よく探すべきであった。

信頼できる調律師とピアニストの関係は重要なのである。こちらの意見を聞いてもらえない調律師の場合が困るのだ。「良い音」に関しては意見もあることと思うが、自宅で演奏するのは私なのであり、「標準」のタッチや音質にしてほしいのである。それが、頼みもしないのに「今日はいつもより針を多めに入れておきました」などという作業をされることもあり、終わってしまったらもう以前の音には戻らない、などということもあった。「腕自慢」をされるのも複雑な心境、ということになるのだ。

それゆえ、整音作業の際にはできるだけ仕事を見せてもらうことにしている。

最近お願いしている調律師は、安心してお任せできる人である。2013年以来のお付き合いで、修理もお願いできる優秀な方である。ただ、ベーゼンドルファーを売却する前にこの人に会いたかった。これだけは返す返すも残念なことだ。個人の練習ではスタインウェイB型を使用。ホールで演奏するのはスタインウェイが多いため、そしてどんなジャンルにもほぼオールマイティな性能を有するピアノだと思うのでこれで満足である。

ただ、(何度も繰り返して恐縮だが)ベーゼンドルファーをもう一度弾いてみたいという気持ちがなくなることはない。やはり調律師は重要である。

いっそのこと、定年後は自分で調律、整調整音の技術を学んでみようかという気もする。それは後の楽しみ、ということで・・・・・